新型コロナウイルスが再び日本列島に脅威を与えている。6月末から全国の感染者が急増しており、夏休みを目前に「第7波」襲来への不安は広がる。政府はマスク着用基準や外国人の入国制限の緩和などを打ち出し、社会経済活動との両立を急いでいる。が、果たして「備え」は十分なのか。コロナ3年目で対策は万全かと思いきや、今夏のビッグウェーブの予兆が実は「危険」な理由を探った。(イトモス研究所所長 小倉健一)
コロナの感染者数が全国で急増
「第7波」襲来の予兆
全国の新型コロナウイルス新規感染者数が再び急増している。7月5日に3万6167人と前週同曜日から1万6798人増加し、5月25日以来となる3万人台を記録。翌7月6日には4万5000人を超え、5月18日以来約2カ月ぶりに4万人を上回った。
同7月6日の東京都の感染者数は8341人で、8000人を超えたのは約3カ月ぶりのことだ。翌7日には8529人となり、1週間前の6月30日の3621人から2.3倍以上に増え、20日連続で前週の同じ曜日を上回っている。
他エリアの7日発表の新規感染者数は、大阪府が4615人、神奈川県は3130人、愛知県で2712人と全国で軒並み増加し、鳥取県は過去最多となる219人の感染が確認された。
日本全国における新規感染者数の最大値は、「第6波」の2月1日に記録した1日当たり10万4478人だ。第7波襲来が現実のものとなれば、それを上回るのだろうか。
厚生労働省は直近の感染再拡大について、これまで主流だったオミクロン株「BA.2」から、感染力がさらに強い「BA.5」と呼ばれる変異ウイルスに急速に置き換わっていることが背景にあるとみている。今年初めの猛威を乗り越え、政府がさまざまな行動制限措置を段階的に緩和していた矢先だけに、人々は落胆も隠せない。
しかし、専門家はBA.5について「BA.2よりも免疫を逃れやすい性質があるなど、感染力が強いとみられる」と警鐘を鳴らし、これまで以上の脅威を迎える可能性を指摘する。
国民の生命を守るという重要な役割を担う政治といえば、6月22日に公示された参議院選挙(7月10日投開票)に傾注している。だが、「今回の脅威は相当危険」と見る中央省庁の官僚は少なくない。
コロナ3年目にもかかわらず、「今夏が危険」な理由は三つある。