80歳で20本以上自分の歯を保とう写真はイメージです Photo:PIXTA

何歳になっても食事をおいしく食べ、健康的に過ごすためには、丈夫で健康な「歯」を保ち、自分の歯で食べることが大切です。歯の健康には、歯みがきなどのケアだけでなく、食生活も関わってきます。そんな“歯と食の関係”についてお伝えしていきます。(管理栄養士 岡田明子)

80歳で20本以上自分の歯を保とう

 心身ともに健康に生きる。QOL(Quality of Life、クオリティー・オブ・ライフ)と言われる「生活の質」のために、「歯」はとても重要です。年齢を重ねても、おいしいものや食べたいものを「自分の歯」で食べることができる幸せや喜びを感じることは、QOLに深く関わってくるためです。

「8020運動」は、厚生労働省と日本歯科医師会が提唱した「80歳で20本以上、自分の歯を保とう」という運動です。最低でも20本以上の機能する歯があれば、大抵の食べ物はかみくだくことができ、食生活に満足することができるといわれています。

 歯の喪失本数が多くなると、咀嚼(そしゃく)能力の低下が起こります。食べ物をかむことが困難になると、柔らかい食べもの中心の食生活になることで、ご飯や麺類、パンなどの炭水化物中心の食事になり、固い肉や野菜などを取る量が減ります。すると、タンパク質やビタミン、ミネラル、食物繊維などの栄養が取れず生活習慣病を招いたり、栄養バランスの乱れや、食欲の低下による「低栄養」につながったりします。低栄養になると、筋力や運動能力の低下などを招きます。このように、健康な歯を保つことは全身の健康につながっているのです。