『週刊ダイヤモンド』8月6・13日合併号の第1特集は「大学 入試・序列・就職」です。今年1月の大学入学共通テストでは、「数学I・A」など7科目で、センター試験時代を含めて過去最低点を記録し、志望校の変更が相次ぎました。片や、私立大学受験の方も、来る2023年入試から、国が私立大入学定員厳格化を緩和する方針を決めました。特集では、国公立大学、私立大の入試分析のほか、生き残りをかけて激変する大学の最前線を大解剖します。(ダイヤモンド編集部 宮原啓彰)

前回は難化の共通テスト
“揺り戻し”は起きる?

 実施2回目を迎えた大学入学共通テストが物議を醸した、2022年1月の大学入試。「22年入試の特徴は大きく3点に集約できる」と、大手予備校、河合塾の近藤治・教育研究開発本部主席研究員は言う。

2023年大学入試は私立大「定員緩和」と共通テスト「数学易化」で大激変必至!大学受験関係者の間でまず間違いなく見直しがあると目されているのが、大学入試全体に影響を与える共通テストだ(写真はイメージです) Photo:PIXTA

 一つ目は、少子化に伴う競争の緩和だ。「難関大学でも、同じ偏差値帯の合格率は年々上がっている」と近藤氏。二つ目は、ポストコロナを見据えて前年までの地元志向が弱まりつつあること。そして三つ目は、やはり共通テストの難化だ。これらの特徴は、半年後に迫った23年入試でも続くのか?

 まず確実視されているのが、競争の緩和だ。18歳人口が今年より約2万人減になる109.7万人と、110万人を割り込むためだ。21年入試で前年比14%減と史上最大の減り幅を記録した、私立大学の志願者数(一般選抜)は、22年入試も「横ばいのままで、“谷”の状態が続いている。逆に、23年入試も大学・学部新設によって入学定員増が見込まれており、競争緩和がより進む可能性が高い」(近藤氏)。

 コロナ禍については、各大学でポストコロナへの動きが強まっているものの今後の感染状況次第だ。

 一方で、大学受験関係者の間でまず間違いなく見直しがあると目されているのが、大学入試全体に影響を与える共通テストである。

 今年1月の共通テストは、大学入試センター試験時代も含めて、7科目で過去最低の平均点となった。特に数学では、「数学I・A」が38点(100点満点)など、前回試験から20点近く下降し、「数学ショック」なる言葉も生まれた。

 結果、「共通テストが必須の国公立大学受験者は総じて初志貫徹で当初の志望大学に挑戦したが、上智大学など私立大の『共通テスト』方式で、受験者を大きく減らした大学が出た」(近藤氏)。

 そして、7月、「数学I」「数学I・A」の難易度を「あまり適切ではない」とする外部評価の結果が公表され、実施3回目となる来年1月の共通テストでは「数学を中心に、難易度や出題量が易化される可能性が高い」と、大学や予備校関係者は口をそろえる。

 そして、23年入試における新たな“変数”になるとみられているのが、6月に明らかになった私立大の入学定員基準の緩和だ。