一読のすすめ

 睡眠に関する正しい知識を得るのは、なかなか難しいものだ。実際、インターネットでは「日付が変わる前に寝なければいけない」「午後10時から午前2時までがお肌のシンデレラタイム」などといった情報があふれている。だが本当は、何時に寝るかよりも、入眠直後の「黄金の90分」を質の高いものにすることが重要だというのだから、驚いた人もいるだろう。

 本書はこのほかにも、「慢性的な不眠症で悩んでいます」「夜中に何度もトイレに行き、目が冴えてしまいます」「寝つきがよくなる寝具はありますか?」「コロナ禍の巣ごもりで生活リズムが崩れてしまいました」など、気になるトピックが満載だ。睡眠の質を改善するための第一歩として、本書を手に取ることをおすすめする。

評点(5点満点)

総合3.7点(革新性3.0点、明瞭性4.0点、応用性4.0点)

著者情報

西野精治(にしの せいじ)

 スタンフォード大学医学部精神科教授、同大学睡眠・生体リズム研究所(SCNラボ)所長。医師、医学博士。株式会社ブレインスリープ最高研究顧問。
 1955年大阪府生まれ。1987年、当時在籍していた大阪医科大学大学院からスタンフォード大学医学部精神科睡眠研究所に留学。突然眠りに落ちてしまう過眠症「ナルコレプシー」の原因究明に全力を注ぐ。1999年にイヌの家族性ナルコレプシーにおける原因遺伝子を発見し、翌2000年には研究グループの中心としてヒトのナルコレプシーの主たる発生メカニズムを突き止めた。
 2007年、日本人として初めてスタンフォード大学医学部教授に就任。睡眠・覚醒のメカニズムを、分子・遺伝子レベルから個体レベルまでの幅広い視野で研究している。
 2019年、ブレインスリープを創業。現在は最高研究顧問を務めている。
 1963年にウィリアム・C・デメント博士により創設された「スタンフォード大学睡眠研究所」は、世界の睡眠医学を牽引しており、数多くの睡眠研究者を輩出していることから「世界最高の睡眠研究機関」と呼ばれている。

(1冊10分で読める要約サービス flier