大林組社長が「しわ寄せ」に恐々、大阪・関西万博工事を襲う2つの“地獄”提供:日本国際博覧会協会

2025年の日本国際博覧会(大阪・関西万博)の開幕まで、1000日を切った。大阪・関西万博は日本経済の起爆剤として期待が寄せられている。その一方で、万博会場の建設を請け負うゼネコンは、足元の資材価格の高騰に伴う建設費の上振れ分を「すべて押し付けられる」と戦々恐々としている。(ダイヤモンド編集部 堀内 亮)

万博工事予算は増額しない方針
資材費高騰を考慮せず

「『金がないから我慢してよ』というのは勘弁してほしい」。7月20日に都内で行われた日本建設業連合会の定例会見で、開幕まで1000日を切った日本国際博覧会(大阪・関西万博)について尋ねられると、宮本洋一会長(清水建設会長)は嘆いた。

 大阪・関西万博を巡り、資材費の高騰で会場の建設費が上振れする可能性が出ている。会場建設費は当初見積もった1250億円から、詳細なデザインが決まった後に1850億円まで引き上げられた。この見積額は2020年に設定されたもので、昨今の急速な円安、資源高はまったく考慮されていない。

 それでも、主催者である日本国際博覧会協会は、予算を増額しない方針を示している。関西経済連合会の松本正義会長(住友電気工業会長)は「円安や資材の高騰を吸収し、(会場建設予定費の)1850億円の範囲内で立派なものを造ってほしい」と言う。

 これに対し、会場建設を請け負うゼネコン側は「コストの上振れ分を押し付けられる」と戦々恐々。宮本会長よりもぼやきが止まらなかったのは、日建連副会長を務める大林組の蓮輪賢治社長だ。

 蓮輪社長はまず、「今の物価上昇は、非常事態に値する。物価高騰に対して受発注者間でどうヘッジするか、請負契約でしっかり明示して曖昧さを排除する必要がある」と宮本会長に続いた。そして、資材費高騰に加えてもう一つ“地獄”があることに言及した。

 もう一つの地獄とは何なのか。次ページでは、二つの地獄をつまびらかにする。