中国の「夏祭り」が続々と中止に至った裏事情と“反日”感情の関係とはPhoto:PIXTA

この夏、中国各地で予定されていた「夏祭り」のイベントがネット上で猛批判を受け、相次いで中止に追い込まれるという異例の事態が起きている。毎年夏から秋にかけて日中関係の敏感な日が続くが、背景には何があるのだろうか。(ジャーナリスト 中島 恵)

中国で「夏祭り」イベントが
相次いで中止となった事情

「これは日本による文化の侵略だ!」「なぜ南京大虐殺が起きたこの都市(南京市)で、わざわざ日本関連のイベントを行うというのか?許せない!」

 7月上旬、中国のSNS上は突如、このようなコメントで大荒れとなった。きっかけは、南京市の寺に旧日本軍の軍人の名が書かれた位牌(いはい)が祭られていたと判明したこと。詳細な経緯は不明だが、ある中国人女性が祭ったとされる位牌の写真がSNSで拡散され、寺に批判が殺到した。

 しかし、問題はこれだけで終わらなかった。南京市で7月17日に実施されることになっていたイベントが中止となったのだ。中止理由は「天候のため」と発表されたが、この問題が影響していることは明らかだった。イベントの内容は若者を中心にアニメのコスプレなどを行うもので、日本とは関係のないものだが、名称が「夏日祭」となっており、日本を連想させるものだったからだ。

 この一件を皮切りに、江西省新余市、雲南省大理市、広西チワン族自治区桂林市など全国各地で開催予定だった「夏日祭」は全て中止に追い込まれた。中止を発表した主催者の文書には、「一般のアニメイベントであり愛国的な内容だが、中止とした。私たちは歴史を胸に刻み、国の恥を忘れてはならない」と書かれているものもあった。

 単なる夏祭りのイベントが相次いで中止になるというのは不可解な話だが、背景には一体何があるのだろうか。