今秋、小麦製品は必ず大幅に上がる
秋以降の値下げキャンペーンは期待できない

 さて、このような三つの理由があってのドミノ・ピザのキャンペーンですが、私たち消費者はどう対応したらいいのでしょうか?

「この夏の間にドミノ・ピザを一度楽しんでおくべきだ」というのが、経済評論家としてのアドバイスです。

 値上げラッシュの話ですが、実はこの秋、小麦製品はさらに価格が上がります。

 小麦は、政府が安定供給のために一度買い上げて販売する「管理貿易商品」です。春と秋、年に2回価格が改定され、今年春の政府売り渡し価格が17.3%と大幅に上昇したことから今の食品の値上げラッシュにつながっているのですが、問題は今年の秋です。

 ウクライナ危機による小麦の国際相場の上昇の影響や円安の影響は、むしろ今年の秋に反映されることになるので、今年の秋の小麦の政府売り渡し価格はこれまでになかったほどの上昇幅になることは確実でしょう。

 そうなると、当然のことですがドミノ・ピザも「低価格でシェアを買う」戦略を見直す必要に迫られます。

 企業としては夏の間にシェアを買っておいて、製品を口にする習慣を持つ消費者の数を増やしておくことが戦略目標であって、秋から冬にかけては同じ戦略は適用できそうにないのです。「ピザを注文するならこの8月」というのが、経営戦略理論から導き出した私の結論です。

(百年コンサルティング代表 鈴木貴博)