ビッグ4最大手のデロイト トーマツ コンサルティングでパートナーの離職が相次いでいる。AI(人工知能)に関する研究組織のトップを務める著名パートナーを始め10人以上が3月末までに退職する。短期間での“大量離職”は異常事態といえる。長期連載『コンサル大解剖』内で10回前後にわたり配信予定の特集『デロイト内部崩壊』の第9回では、退職を決めた大物パートナー10人超の実名に加え、大量離職が業績に与える影響についても明らかにする。(ダイヤモンド編集部副編集長 名古屋和希)
デロイトの著名パートナーが退職
10人超が3月末までに相次ぎ離職
「あの人が抜けるのか…」。今年1月、ビッグ4最大手のデロイト トーマツ コンサルティングで、ある大物パートナーが退職するとの話に衝撃が走った。
そのパートナーとは、執行役員の森正弥氏である。森氏は、アクセンチュアから2006年に楽天(現楽天グループ)に転じ、執行役員兼楽天技術研究所代表として、グローバルの研究拠点を統括し、AIやビッグデータの戦略の策定・運用を担った。
森氏は、デロイトでは21年6月に発足したデロイトAI Instituteの所長に就任。AIなどのテクノロジーを活用した企業支援を主導してきた。
社外でも、東北大学特任教授や日本ディープラーニング協会顧問などを務め、18年には国連本部で日本企業を代表して、技術研究によるSDGs(持続可能な開発目標)への取り組みを報告。多くの著作も手掛けるなど、デロイトでも指折りの著名パートナーである。
その森氏が3月でデロイトを退職することになった。転職先は、広告代理店大手の博報堂DYホールディングスである。4月1日付で執行役員兼CAIO(最高AI責任者)に就く。
実は、足元で森氏のようにデロイトを去るパートナーが続出している。その数は主なパートナーだけで10人超にも上り、まさに“大量離職”の様相を呈している。なかには、佐瀬真人社長の経営路線を支えてきた“佐瀬派”のパートナーも含まれる。
次ページでは、退職を決めた主なパートナー10人超の実名を公開する。『【スクープ】デロイトが内部崩壊!“予算未達ドミノ”で大幅下方修正、「禁じ手」人員削減リストラ計画の全容』で触れたように、デロイトは業績不振に陥っている。パートナーの大量離職が今後の業績に及ぼす影響についても明かす。