中国で離婚激増の兆し、「家庭崩壊」を予見できなかった習近平指導部密室の中では壮絶なバトルが繰り返されていた(上海にて 著者撮影)

中国では少子化を食い止めるべく、習指導部があらゆる策を算段している。その策の一つが「離婚のクーリングオフ制度」の導入で、2021年には離婚が前年比43%も減って213万組にとどまった。だが、これも一瞬の喜びで終わるかもしれない。2022年は、元の木阿弥(もくあみ)となる可能性が出てきた。一体何が起こっているのか。(ジャーナリスト 姫田小夏)

密室から解放後、離婚件数は急増する?

 2021年1月から中国で導入された、通称「離婚のクーリングオフ制度」は、離婚の成立前に30日間の冷却期間を設けるというものだ。この規則が導入された背景には、歯止めのかからない「離婚増」があった。

 カッとなった勢いで、離婚届にサインするカップルも少なくないのだろう。その衝動を抑え、ほとぼりを冷ます期間を設ければ、少しでも少子化を緩和することができる――、習指導部がこう算段したことは十分に想像がつく。

 ところが上海では6月1日にロックダウンが解除されると、多くのカップルが離婚の手続きに民政局に向かったという。3月末からおよそ2カ月間、ゼロコロナ政策により2500万人が自宅に「幽閉」されたが、社会へのアクセスから途絶された密室の中では、「多くの夫婦が壮絶なバトルを繰り返していた」と、上海市に親戚を持つ劉躍さん(仮名、都内在住)は話す。