アイリス・リン氏(25)は、中国最大級のソーシャルメディア(SNS)サイトでツイッターに似た機能を持つ「微博(ウェイボー)」が、ネットワーク上にある彼女のコンピューターのロケーションを表示し始めたことを受けて、その利用をやめる時が来たと決断した。ナショナリズムの高まりを受けてネットユーザーへの嫌がらせが広がる中、プライバシーが侵害される恐れを感じたからだ。中国在住のリン氏は「こうした動きは、あえて声を上げようとする者を黙らせる試みに他ならない。中国のSNSを利用し続けようとしても意味がない。母国がわたしたちを追い出そうとしている」と語った。リン氏を含め、中国語を話す多くの人々が、今年春から夏にかけ、中国の主要SNSサイトの利用をやめた。中国SNS分野の複数のプラットフォーム企業が4月に、新たなルールを採用したことがその一因になっている。このルールは、ユーザーに対し、身分を明らかにし、インターネットプロトコル(IP)アドレスを表示することを義務付けるものだった。IPアドレスによって、外国のユーザーの所在国や中国のユーザーの所在省などが分かってしまう。