「台湾有事」に日本企業が備えるべきことは、地政学リスクのプロが解説ペロシ氏の訪問により緊張が高まる台湾情勢。中国に対抗して軍事演習を行った台湾軍 Photo:Annabelle Chih/gettyimages

ペロシ氏の訪問により
緊張が高まる台湾情勢

 米中を取り巻く政治的緊張がワンフェーズ上がった。米国ナンバー3といわれるペロシ米下院議長が8月2日、台湾訪問を強行した。その前から中国は猛反発し、中国外務省は「訪問すれば力強い対抗措置を取る」とけん制し、バイデン大統領と7月末に電話会談を行った習国家主席も「火遊びをすれば焼け死ぬ」と強くくぎを刺していた。

 中国としてはメンツをつぶされた結果となったが、異例の3期目を目指す習主席としては強いリーダー像を国民に示す必要があり、今後はさらに強硬な対応に出てくる可能性がある。

 一方、バイデン政権としても対中強硬論は民主党共和党を問わず超党派的な支持があり、秋の中間選挙に勝利したいバイデン大統領としても中国への厳しい姿勢は継続することになる。

 よって、今後も台湾情勢ではさらなる緊張が到来する可能性が高く、企業としてはその前提のもと想定される経営リスクを考えておく必要がある。

 では、具体的にはどのようなリスクがあるのか。ここでは、台湾からの退避、日本のシーレーンへの影響、日中関係の冷え込みを紹介したい。