米国民にとってインフレが最大の懸念事項になって以降、ジョー・バイデン大統領と与党・民主党の議員らは、税制・気候変動・医療に関する看板法案に「インフレ抑制法案」と名付けるまでしてインフレ対策に取り組んでいる姿勢を示そうとしてきた。バイデン氏は10日、この法案を可決することは、インフレの悪化を防ぐために議会としてできる「最も重要なこと」だと断言した。これについては二つの問題がある。一つ目は、この主張の大部分が、同法案の下で財政赤字が10年間に約3000億ドル(約40兆円)減り、それによって総需要とインフレ圧力が抑えられるという見通しに基づいているということだ。だが、法案に盛り込まれた各項目の実施時期や内容を考えると、この法案は実質的に、インフレが特に問題となる今後数年間のインフレ動向にほぼ影響しないとみられる。