リチウム界のサウジアラビアと呼ばれるこのカリフォルニア州ほどの大きさの地域には、電気自動車(EV)用バッテリーの重要な原材料であるリチウムの世界確認埋蔵量の約55%が眠っている。だが、この資源の開発は厄介だ。中国のEV大手、比亜迪(BYD)は最近それを学んだ。同社は今年初め、チリ政府の入札でリチウムの採掘権を落札したが、現地の水源に与える影響への懸念を巡って先住民が街頭デモを実施し、入札の取り消しを要求。チリ最高裁は6月、政府が先住民と最初に協議することを怠ったとして、落札を無効とする判断を下した。「彼らはリチウムを増産したがっているが、その代償を払うのはわれわれだ」。訴訟を起こした先住民族アタカマの二つの村落のうちの一つの首長を務めるレディ・サンドン氏はこう述べた。BYDの広報担当者はコメントを控えた。
「リチウム界のサウジ」採掘難航、EV革命に影
バッテリー需要爆発も政府の厳しい統制や環境懸念などが足かせに
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