「私はなぜいつもうまくいかないんだろう」「もっとラクに生きられたらいいのに」と思うことはないだろうか。そんな人におすすめなのが、2022年8月3日発売の『こころの葛藤はすべて私の味方だ。』だ。著者の精神科医のチョン・ドオン氏は精神科、神経科、睡眠医学の専門医として各種メディアで韓国の名医に選ばれている。本書は「心の勉強をしたい人が最初に読むべき本」「カウンセリングや癒しの効果がある」「ネガティブな自分まで受け入れられるようになる」などの感想が多数寄せられている。本書の原著である『フロイトの椅子』は韓国の人気女性アイドルグループ・少女時代のソヒョン氏も愛読しているベストセラー。ソヒョン氏は「難しすぎないので、いつもそばに置いて読みながら心をコントロールしています」と推薦の言葉を寄せている。自己啓発書では物足りなくなった読者に、自分と他人の本心を探り、心の傷を癒すヒントをくれる1冊。今回は日本版の刊行を記念して、本書から特別に一部抜粋・再構成して紹介する。
「自分を破壊したい」という無意識的な欲求がある
アメリカの作家、ドロシア・ブランドは、「誰の心にも、自分を破滅させたいという願望の種が存在する。それを育つがままに放置すれば、不幸という実を結ぶことになる」といいました。
この言葉のように、自分を見放したらどうなるのでしょう?
自分で自分を壊して、満足感を得ることなんてあるのでしょうか?
理性的に考えればとんでもない話ですが、無意識の世界ではありえることです。
これは、フロイトが唱えた「死の本能」にも通じます。
いつも失敗ばかりする人は、単に運が悪いとか環境に恵まれていないだけだといい切れますか?
心の中をのぞいてみると、「自分を破壊したい」という無意識的な欲求を持っていることがわかります。
自分で自分を憎み、自分の行動を失敗に導いて傷だらけになることによって、驚くべきことに喜びを感じます。
しまいには、自分で自分を元に戻せないほど破壊してしまいます。そういう人が少なからず存在するのです。
「罰を受ける苦しみによって罪悪感を減らす」
自己破壊の極端な例が自殺です。
自殺行為とは屋上から飛び降りたり、首を吊ったりすることだけではありません。
自分の健康を害する行為を習慣的に、あるいは、衝動的に行うのも一種の自殺行為です。
たとえば喫煙、暴飲暴食、薬物乱用がその例です。
体に悪いと思いながらもあえて続けるのは、これらが不安を解消するための試みだからです。
自分自身を罰するという意味合いもあります。
「罰を受ける苦しみによって罪悪感を減らす」という行為が満足感をもたらしてくれるので、有害な習慣を捨てられなくなるのです。
頭ではやめたいと思っているのに、無意識によって自分を害する方向に引っ張られ続けたとしたらどうなるでしょうか?
自己破壊という名の監獄から抜け出せなくなれば、実におぞましく不幸なことが起こるでしょう。
人生のリセットが必要です。
(本稿は、チョン・ドオン著 藤田麗子訳『こころの葛藤はすべて自分の味方だ。 「本当の自分」を見つけて癒すフロイトの教え』から一部抜粋・再構成したものです)
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『こころの葛藤はすべて自分の味方だ。』は、自分でも気づかなかった心の傷を見つけ、乗り越えるためのノウハウがつまっています。ぜひチェックしてみてください。