【マイナス0.4%】
貨物運送事業の営業利益率
トラック運送業界は、軽油価格の高騰と価格転嫁の遅れによる経営環境の悪化、ドライバー不足と高齢化、環境対応などの課題が山積している。改正貨物自動車運送事業法の施行から3年半超が経過し、物流の「2024年問題」を産業界が注視する中、指標となる数字を読み解くことで、業界の立ち位置と課題の本質がみえてくる。
まず気になるのが、コロナ禍を経たトラック運送事業者の経営の実態だ。全日本トラック協会が発表した最新の経営分析報告書(20年10月~21年8月)によると、貨物運送事業における営業利益率はマイナス0.4%だった。09年以降、営業利益率がプラスになったのは16年のみで、わずか0.2%。こうした数字からもトラック運送事業の利益率の低さが読み取れる。
さらに注目したいのが、大手と小規模事業者で業績格差が広がっていること。直近のデータで、車両規模「10台以下」の営業利益率はマイナス3.4%、「11~20台」はマイナス1.6%、「21~50台」はマイナス0.3%とマイナス圏にある一方、「51~100台」は0.4%、「101台以上」は1.7%とプラス。大手に相当する「101台以上」は直近3年間プラスを維持している。
コロナ禍からの業績回復は、大手、中堅の事業者が先行し、小規模事業者の業績回復力は依然として鈍い。全体でみると、黒字事業者の割合は営業損益段階で44%、経常損益段階で57%となっているが、「10台以下」の区分では62%が営業赤字、46%が経常赤字となっている。トラック運送業の損益に大きな影響を及ぼす燃料費の高止まりが続く中、価格転嫁にも窮する小規模事業者の損益の悪化が見込まれる。