景気後退懸念をはじめとして、世界の株式相場に悲観的なムードが漂っている。投資家は不安を抱きやすい環境だが、米著名投資家のケン・フィッシャー氏は、そんな今こそ投資の好機だと喝破。さらに、株価回復の「秘密の燃料」とは何かを明かす。
「不信の悲観論」が回復の礎
株式相場の秘密の燃料とは?
弱気相場!世界景気後退!世界株式が1月の高値から米ドル建てでマイナス20%を突破した6月中盤以降、ニュースは世界の“破滅”を表すかのような見出しを報じてきた。最近では、米国GDP(国内総生産)の2四半期連続縮小という事実をもって、さらにあおり立てている。
極端な円安がTOPIX(東証株価指数)の下落を和らげたが、多くの人はこの先、より大きな悩みの種が待っていると思い込む。ただし、それは誤りだ。大抵の下落と異なり、この世界的な弱気相場は、投資家心理が主導している――いわば、市場の調整に似た特徴だ。異例の深度は無数の懸念から生じ、投資家を混乱させている。
だが、重要な点が大抵の弱気相場に似ている。私が長らく「不信の悲観論」(Pessimism of Disbelief:PoD)と呼んできたものを生じさせた点だ――それこそが今、日本の国内外で相場回復の礎を築いてもいる。
この考え方について、私は何十年も執筆してきた。それは大きな下落が投資家心理を強打した後、表面化するものだ。投資家はネガティブな要素に集中し、あたかも朗報を無視するかのように――ポジティブ要素はすぐ悪いものに変わると、主張するようになる。しかし、株式相場には秘密の回復の燃料がある。何だろうか。