林真理子や「楢山節考」の深沢七郎
『ど根性ガエル』の吉沢やすみらが卒業生
甲府盆地の北東にあり、ワインの産地として知られる山梨市。そこに明治時代、山梨県第二中学として設立されたのが、県立日川(ひかわ)高校だ。ラグビーの名門として、全国に鳴らしている。
もっとも著名な卒業生といえば、小説家、エッセイストの林真理子(1954年4月生まれ)だろう。この7月からは、日本大学の理事長に就任した。
林は山梨県山梨市の書店の娘として生まれ、地元の県立日川高校を卒業した。母校愛が強く、1984年に表した自叙伝的小説『葡萄が目にしみる』(角川書店)を、「高校時代の何人かの同級生をパッチワークした作品」としている。
86年には『最終便に間に合えば』『京都まで』で直木賞を受賞した。現在は直木賞選考委員で、日本文芸家協会理事長でもある。2019年には、政府が新元号「令和」を決める際に意見を聞いた「元号に関する懇談会」のメンバーにも選ばれた。
林が進学したのは、日大芸術学部文芸学科だった。「日芸」の愛称で呼ばれ、数多くのアーティストを輩出してきた学部だ。
林は、日川高校のみならず日本大学に対する愛校心もめっぽう強かった。前理事長による所得税法違反事件などの不祥事を受け、人事刷新をめざす日大の新理事長として林が選考された。女性の理事長は、日大にとって初めてだ。
日大は、日本最多の7万人以上の学生・生徒を抱える巨大組織だ。火中の栗を拾うような状況だが、林は「マッチョな体質の古さを変えたい」と、日大改革に意欲を燃やしている。