「ほめる」バリエーションが増える!

――この本では、シチュエーションごとに「すてき」と思われるフレーズと「残念」と思われるフレーズが提示されていますよね。そして、「こういうシチュエーションでは、こんな取っ掛かりをみつけて話すとといいよ」と解説されていて、文例集というだけでなく、臨機応変に言い換えたいときのヒントが散りばめられていますね。

宮崎 そうなんです。たとえば、「ほめる言葉」の章の中は、「シンプルにほめる」「センスをほめる」「人柄をほめる」「仕事ぶりをほめる」「相手を立てる」「ほめられたとき」と細かくシーンを分けています。そして、それぞれに「残念」と「すてき」の文例を載せました。

 そのうちの一つ、「人柄をほめる」の文例をご紹介させてください。

・人柄をほめる
「〇〇さんがいてくれると場が和みますね。」
(成果や成長ではなく、その人のキャラクターや存在感そのものにひと言触れてみて。相手の自己肯定感も高まります)

・やさしさをほめる
「あたたかいお人柄ですね。」

(人柄をほめられると、内面を見てもらえている感じがして、ほめられた人はうれしい気持ちになります)

・寛大さをほめる
「包容力がありますね」

(包み込まれるような安心感や、見守ってくれる雰囲気を相手から感じたときのひと言)

・発想をほめる
「ユニークな発想ですね」

(アイデアや言葉のセンスをほめたいときに。「個性あふれる」や「ウィットに富む」などのほめ言葉も)

・真面目さをほめる
「芯がしっかりしていますね」

(「自分の芯」をほめられると、真面目さを肯定されたようでうれしい気持ちになります)

・身内を無条件でほめる
「自慢の母です/自慢の娘だよ」

(身近な存在の人には、特別なときだけでなく、いつでも無条件にほめる言葉や愛する気持ちを伝えたいもの)

宮崎 ほめるのが良い、と頭ではわかっていても、実際にはどうほめたらいいか悩んでしまうことってあると思うんです。

 ですので、この本では「やさしさ」「発想」「真面目さ」など、ほめる時の切り口から紹介しています。

――たしかに「身内を無条件でほめる」というのは、発想になかったです!

宮崎 そうですよね! この文例は、著者も私もお気に入りの一つなんですよ。

「この人、素敵!」「またお会いしたいな」と感じる人って、ほめ上手な方が多いんです。特別な時だけではなく、何気ないことに対してもサラッとポジティブな言葉をかけてくれるんですよね。

――こういった文例が334も収録されているんですね。これだけ言えるようになったら、すてきな人になれそうです。

宮崎 もちろん、この本に載っている文例をそのまま言っていただいてもいいんですが、文例を一言一句まちがえずに言えたとしても、人間関係やシチュエーションによって、そぐわない場合もありますよね。だから、「こういうとき、こんなことが言えたらすてきかも」というアイデア集として使ってもらえたらうれしいです。

――テーマごとにひと言コラムも複数載っていて、ちょっとした気づきがあります。たとえば、先ほどの「人柄をほめる」については、ひと言コラムとして「大人にこそ、ほめ言葉を贈ろう」「一緒にいて楽しい気持ちになったらすぐ伝えよう」「身内のほめ言葉に勝るものはない」とワンポイント・アドバイスがありました。まさに「こういうとき、こんなことが言えたら」というヒントがいっぱいありますね。

おわびや感謝の言葉のレパートリーを増やす

――特に好評なページはどのあたりですか?

宮崎 「雑談する」(94-96ページ)は、すごく需要があるんだなというのを感想など見ていると思いますね。あとは、「おわびの言葉」(200-217ページ)、「感謝の言葉」(74-90ページ)も、よく言う言葉だからこそレパートリーを増やしたい方が多いみたいで、非常に好評です。

――たしかに、おわびやお礼のかしこまった伝え方は、社会人になって先輩が電話で話しているのを横で聞いていたり、取引先とメールでやりとりしたりするなかで、少しずつ語彙が増えていくところがあると思うんですけど、時間がかかりますよね。だから、これ1冊あれば、辞書みたいにも使えて便利だなと思いました。

宮崎 そうなんです。まさに「素敵な先輩のノートを借りている」という感じで手に取っていただけるようつくりました。カバーをめくってすぐのところに、「デジタルの時代だからこそ、心あたたまるコミュニケーションを」というコピーを入れたのですが、心の通じるやりとりを、素敵な大人の先輩に教えてもらっているかのように、読んでいただけたら嬉しいです。

【感じいい人は知っている】相手も自分も嬉しい「褒める」のバリエーション