ニュースで見聞きした国、オリンピックやW杯に出場した国、ガイドブックで目にとまった国――名前だけは知っていても「どんな国なのか?」とイメージすることは意外と難しい。『読むだけで世界地図が頭に入る本』(井田仁康・編著)は、世界地図を約30の地域に分け、地図を眺めながら世界212の国と地域を俯瞰する。各地域の特徴や国どうしの関係をコンパクトに学べて、大人なら知っておきたい世界の重要問題をスッキリ理解することができる画期的な1冊だ。この連載では、本書から一部を抜粋しながら、毎日1ヵ国ずつ世界の国を紹介する。

「西サハラってどんな場所?」2分で学ぶ国際社会アフリカ北部

西サハラとモロッコの関係

 西サハラは、アフリカ大陸北部のサハラ砂漠西端、大西洋に開けた位置にある地域です。国土のほとんどは砂漠です。

 19世紀にスペイン領となりましたが、1975年に、35万人ものモロッコ国民が、西サハラの領有権を主張するための越境行進(緑の行進)を行うと、スペインは領有を放棄しました。モロッコとモーリタニアが分割し、モーリタニアは1979年に領有権を放棄しました。

 モロッコの領有に対して、アルジェリアの支援のもと西サハラ独立を目指すポリサリオ(西サハラ民族解放戦線)が抵抗し、両者の間で戦闘が発生しました。

 ポリサリオは、1976年に、アルジェリアの首都アルジェで亡命政府をつくり、サハラ・アラブ民主共和国として独立を宣言すると、アフリカ諸国等は承認を表明しました。

 しかし、領有権を主張するモロッコとの間で紛争が続き、1991年に国連の仲介で停戦したものの、モロッコは、南北2700㎞に及ぶ分離壁「砂の壁」を建設するなどして、実効支配を続けています。

 先進諸国は、モロッコとの関係を考慮し、サハラ・アラブを国家として承認していません。

 日本にとっても、モロッコは水産物の重要な貿易パートナーであり、アメリカやフランスが、モロッコを政治的、経済的に支援しているため、西サハラを国家として承認していませんが、モロッコの西サハラ併合も認めていません。

西サハラ

面積:26.6万㎢ 首都:ティンドゥフ(事実上)とアイウン(主張)

人口:59.7万 通貨:モロッコ=ディルハム
言語:アラビア語
宗教:イスラームが多数
隣接:アルジェリアモロッコ、モーリタニア

(注)『2022 データブックオブ・ザ・ワールド』(二宮書店)を参照

(本稿は、『読むだけで世界地図が頭に入る本』から抜粋・編集したものです。)