水量低下と水質汚染が
深刻化する中国北部
中国を代表する大河である長江の沿岸地域の住民と農作物・家畜が大干ばつによる影響を受けている。長江沿岸は中国では水の豊かな地域であるが、例年にない熱波もあいまって中下流地域の大部分で水不足が発生しており、本来は雨の多い9月に入っても安徽省、湖北省、湖南省、江西省などで干ばつが進む見通しだという。
『環境白書』(環境省)によれば、世界の年間水使用量は1950年から2000年の50年間で2.9倍に増えている。人口増加は25億人から60億人と2.4倍なので、水使用量の増加のほうが大きい。先進国では節水の工夫がなされるようになったが、今後新興国がさらに経済発展していけば、水使用量の増加ペースは増えることはあっても、大きく減ることはないだろう。
ところが、生態系から水源として使える淡水の量は着実に減っている。そのため、私たちは水確保の問題とともに、生態系の維持という別問題にも対処しなければならなくなっている。
この点で、最も深刻なのが中国だ。中国では淡水の減少幅が大きい上に水質汚濁が年々深刻化しており、生活用水として利用できる水の量が着実に減っている。向こう10年で中国の主立った地域で飲用水として使える水がなくなると主張する専門家もおり、中国の水問題は国家運営を揺さぶりかねないほど大きな問題になりつつある。