習近平政権は「隔離とロックダウン」で
反習近平勢力のあぶり出しを行っている

 3月下旬から約2カ月間にも及ぶ強烈なロックダウンが実施された中国・上海。世界で3番目に在留邦人が多い大都市なだけに衝撃が走った。

 6月1日にロックダウン(中国政府はロックダウンという言葉を避けている)が解除された上海だが、解除以降も1人でも陽性者が見つかると、再び建物丸ごと封鎖されていた。

 中国政府のいわゆるゼロコロナ政策は、9月現在も相変わらず、PCR検査+隔離+ロックダウンの一辺倒である。

 習近平政権は、「大切な人命を守る」という誰も反論できない大義名分を掲げ、異論や反論を一切認めない。

 新型コロナのパンデミックが起こってから2年半超。現在、ロックダウンを対策の柱にしているのは、世界で中国と北朝鮮だけである。

 習近平政権が、隔離とロックダウン一辺倒に固執するのはなぜか。理由は二つあるのではないかと考えられる。

 まず、大きいのは内政目的である。習近平政権の求心力を高め、PCR検査でウイルスの欠片をあぶり出すように、反習近平勢力をあぶり出すためのふるいに使っている。

 中国共産党の党軍である人民解放軍と公安を背景にした力ずくの対応を見せつけることで、中央政府に逆らうと生きていけないことを刻み込む。つまり、生殺与奪権は、習近平政権が握っているのことを知らしめるのに新型コロナ対策を利用しているということだ。

 国民の命と生活を守ることよりも中国共産党を守るために行われていることは明白だ。