落ち込む不動産や住宅販売
習近平体制揺るがす過剰債務問題
日本は長引くコロナ「第7波」に悩まされ、米国はインフレの長期化リスクに、欧州はスタグフレーション・リスクにそれぞれ直面している。
そして中国経済も、「ゼロコロナ政策」は感染拡大を止められず、予想以上の経済活動縮小を招き景気失速不安にさいなまれている。
中国政府が掲げた5.5%という今年の成長率目標はすでに形骸化し、市場では4%割れの予想が大勢で、金融界の一部には2%台の予想も現れてきた。
足元の景気反発力は脆弱であり、ゼロコロナ政策や不動産市況の動向次第ではさらに下振れするリスクもある。
とりわけ不動産販売面積や住宅販売、不動産開発投資は大幅に落ち込んでおり不動産業者の過剰債務問題や住宅ローンの不払いが広がり、債券や株式市場からの資金流出も続いている。
不動産を軸にした高成長のメカニズムが逆回りし始めた状況で、バブル崩壊後、長期停滞に陥った「日本化」が始まったという指摘もある。
秋の共産党大会で長期政権の基盤を固めようとする習近平体制の足元を揺るがせるだけでなく、世界経済にとっての「中国リスク」が意識されることになりそうだ。