デジタル給与解禁、異業種参入を許す銀行が「実は大歓迎」かもしれない理由Photo:PIXTA

23年春にデジタル給与が解禁されることになりそうです。裏には、銀行の口には出せない本音と狙いが隠れています。さらに、鉄道・小売・通信・人材業界の大手各社などには「四つのビジネスチャンス」があるのです。(百年コンサルティング代表 鈴木貴博)

デジタル給与解禁には
隠れた狙いがある

 23年春にデジタル給与が解禁されることになりそうです。これまで給料は毎月決まった日に銀行口座に振り込まれるものでした。それが銀行以外でも大丈夫という新ルールになるのです。具体的にはPayPayや楽天ペイが参入検討を明らかにしているように、キャッシュレスサービス企業がこれをビジネスチャンスだと捉えているようです。

 一方でJR東日本やイオンなど、明らかにこの新ルールに関係してくる大企業ではこれから社内の稟議(りんぎ)が大変そうです。なにしろこの変化、関係者以外はあまりわかっていないからです。

「この変化をうちの会社のお偉いさんにどう伝えるべきか?」

 そんな悩めるフィンテック担当者に代わって、稟議書にコピペできるぐらいにかみ砕いて「デジタル給与解禁」の意味をまとめてみたいと思います。

 そもそも、なぜデジタル給与が解禁されるのでしょうか。建前としては「銀行口座を介さずに各種決済サービスへのお金の導線を作ることで、キャッシュレス決済サービスの普及促進が見込める」という言葉が伝わってきますが、経済メカニズム的には次の三つの変化を理解することが重要です。

(1)銀行の収益が下がってきている
(2)日本で貧富の格差が広がってきている
(3)外国人労働者がこれからどんどん増える

 順を追って説明したいと思います。