コロナ禍のリモートワークなど生活スタイルの変化により注目されたのが、資産形成に対する関心が高まったこと。特に、20~30代の若い人たちの間で、つみたてNISAの口座開設が急増した。そんな状況の中、つみたてNISA本の決定版ともいえる『最新版 つみたてNISAはこの9本から選びなさい』(中野晴啓著、ダイヤモンド社)が3月16日に発売。本連載では、つみたてNISAを利用して長期投資や資産形成をしてみたいという人に向けて、失敗しないつみたてNISAの賢い選び方・買い方について、同書から抜粋して公開する。「つみたてNISAってなに?」という投資ビギナーの人でも大丈夫。基本的なところからわかりやすくお伝えしていくので、ぜひ、お付き合いください。

貴重なお金を減らさないために、資産運用で最も大事なこととは?Photo: Adobe Stock

資産運用に対する大きな誤解

 資産運用のリターンの高低は、何によって決まるのかご存じでしょうか。

 おそらく多くの人は、「値上がりしそうな銘柄を発掘する力」が大事なのではないかと思っているはずです。

 ここには、大いなる誤解があります。

 実は資産運用のリターンの大部分は、銘柄選別で決まるわけではありません。最も大事なのは、資産配分だと考えています。

 投資信託は、本来、長期投資で、経済が成長するところへお金を乗せて(投資して)、増やしていくものです。

 ですから、非常にざっくり言うと、株式や債券への資産配分比率を、その時々のマーケットの状況に応じて、どのように変えたのかによって、資産運用のリターンが決まってくるのです。

 そうなると、私が主張する「国際分散」投資として、世界中に投資する場合、その配分が非常に大事になってきます(下図)。

 実際のところ、最近は、国際分散のポートフォリオを持つ投資信託の新規設定が増えています。

 つみたてNISAの対象でも、指定インデックス投資信託173本中、世界中の「株式市場」に分散投資するタイプは41本です。

 ほかにも、株や債券に分散投資するタイプの投資信託もあります。指定インデックス投資信託173本中84本が、これと同じような複数資産の組み合わせによるバランス型になっています。

中野晴啓(なかの・はるひろ)
セゾン投信代表取締役会長CEO
一般社団法人投資信託協会副会長、公益財団法人セゾン文化財団理事
1987年明治大学商学部卒業、クレディセゾン入社。2006年セゾン投信を設立。2020年6月より現職。つみたてで、コツコツと資産をふやす長期投資を提言。国際分散型投資信託2本を15年以上運用し、個人の長期資産形成を支えている。客観的な定量評価を行う「R&Iファンド大賞」最優秀ファンド賞を9年連続受賞。口座開設数16万人、預かり資産5000億円を突破。
主な著書に『最新版 投資信託はこの9本から選びなさい』『投資信託はこうして買いなさい』(以上、ダイヤモンド社)他多数。