言葉づかいは、その人の品位を表します。使う言葉一つでその人の印象が大きく変わるものです。ビジネスパーソンであれば、一瞬にして信頼を失ってしまうことにもなりかねない言葉づかい。今回は、何げない言葉づかいに品性を感じたエグゼクティブをご紹介します。(CCI代表取締役・元国際線チーフパーサー 山本洋子)
人をどう呼ぶか、で印象が変わる
「みなさんは、言葉づかいに自信がありますか?」
ビジネスマナー研修などで受講生によく投げかける質問なのですが、自信があると答える人はほぼいらっしゃいません。社会人として経験を積み、仕事で活躍しているビジネスパーソンであっても、敬語の使い方に不安を持つ人が少なくないのが現状です。
日本で生まれ育った人は、日本語を意識しなくても理解し、流ちょうに話すことができますが、同じ日本語でも言葉づかいは人によって大きく異なります。
例えば、敬語もその一つ。なんでもかんでも「お」や「ご」をつけてしまう勘違い敬語、バカ丁寧に敬語を重ねて使う二重敬語、尊敬語と謙譲語をごちゃごちゃに混ぜ合わせて使う間違った敬語など、使う言葉によってその人の知性や人となりが如実に表れてきます。
ただ、たとえ敬語の使い方が多少間違っていたとしても、相手に敬意を持って会話をするという意識がある人は問題ありません。相手をリスペクトするという気持ちや相手に対する思いやりが言葉から伝わるからです。
問題なのは、無意識に相手を下に見たり、バカにしたりしていると思われてしまう言葉づかいで会話をすることです。本人は上から目線で話をしている認識はまったくないのでしょうが、知らず知らずのうちに言われた人やそれを周りで聞いている人が不快に思うことが多いのです。
その一つに「名前を呼び捨てにする」ことがあります。友人同士や親しい間柄であれば多少は許されるのですが、ビジネスシーンにおいては印象が変わってきます。
公の場や職場で人の名前を呼び捨てにするのは、ほとんどが先輩や上司の立場にある人です。先輩や上司が後輩や部下を呼ぶとき、名前を呼び捨てにすることはよくあることです。気にならない人はならないのでしょうが、品性を感じさせるエグゼクティブは少し違いました。