CAが見たリクライニングで「殴る蹴るのケンカ」、一流ならできる後ろへの配慮とは写真はイメージです Photo:PIXTA

日常生活において、ちょっとした気配りが自然にできる人は、誰からも好かれ、好印象を持たれます。ちょっとした配慮というのは、あくまでもさりげなく、相手に気付かれないよう行うものですが、エグゼクティブな配慮はさらにワンランク上のちょっとした心配りがなされています。今回は、エグゼクティブな配慮についてです。(CCI代表取締役・元国際線チーフパーサー 山本洋子)

一流と二流を分ける「後ろ」を見る力

 最近は、ささいなことでトラブルになることが多い社会になりました。通りすがりに肩がぶつかりケンカになる、クラクションを鳴らしただけで、あおり運転でトラブルになるなど、ちょっとしたことが原因で事件になるケースも増えています。

 長時間を密室で過ごす航空機内でも、トラブルが起こることがあります。

 機内で起こるお客さま同士のトラブルで多いのは、座席のリクライニング時に起こるトラブルです。特にエコノミークラスの座席は前の座席との間隔が狭く、テーブルを出しているときに前の座席を倒されると、とても圧迫感を感じます。リクライニングをすること自体はお客さまの自由なのですが、無言で急に勢いよく座席を倒されると、驚くのと同時に「ちょっと配慮に欠けるなぁ」とムッとすることもあるものです。

 座席を倒す前に、後ろに座る人へ一言声をかけるだけでお互いが気持ちよく過ごすことができるのですが、ほんの少し配慮が欠けている振る舞いから大きなトラブルに発展していくことが多いのです。

 私がCA現役時代、乗務していたフライトでもトラブルが起こったことがあります。エコノミークラスでミールサービスが始まった時のことです。後ろのお客さまがお食事を召し上がっている最中、前に座っていた男性のお客さまが突然座席の背を倒したため、後ろに座る男性のお客さまの飲み物がこぼれたのです。