なぜラジオは3時間の生放送でも聞き続けられるのか? ラジオDJとして25年、第一線で活躍し続ける秀島史香さんですが、実は「もともと緊張しがちで人見知りで心配性」といいます。そんな秀島さんだからこそ見つけられた、誰でも再現できる「人が聞き入ってしまう会話のレシピ」を一冊に詰め込んだ『なぜか聴きたくなる人の話し方』からの連載。今回は、「相談され上手」に共通する2つのポイントをご紹介します。
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「お隣目線」のジェーン・スーさん
先日、テレビを見ていたら、通販会社の人がテレビショッピングとラジオショッピングでの売り方の違いについて解説していました。
それによると、テレビでは「視聴者」に向けて商品の特徴やおすすめポイントを説明するのですが、ラジオの場合、話しかける相手は番組の出演者、つまりDJ。
ラジオ番組のリスナーの多くは、そのDJに対して知り合いのような親近感を持っています。なので、そのDJが商品についてポジティブなコメントをすると、「あの人がそう言うなら!」と購買意欲が高まるのだそうです。
このお話、リスナーがDJを信頼してくれているのがわかってうれしい気持ちになる一方で、普段から言葉を大事にしなければ、と身が引き締まるものでした。そして、あらためて、ラジオはリスナーとDJの距離が近いメディアだな、と考えることになったのです。
そんなラジオ独特の距離感の心地よさからか、ラジオ番組には「家族や友人には言えないけれど、相談に乗ってください」と切実な悩みをつづったメッセージが寄せられます。
私も自分がリスナーの立場になったとき、相談に乗ってほしい人が何人かいます。
その一人が、コラムニストとしても活躍されているジェーン・スーさん。スーさんがパーソナリティを務める番組『ジェーン・スー 生活は踊る』(TBSラジオ)の相談コーナーは、リスナーから圧倒的支持を受けています。不思議なことに、顔も知らない誰かの悩み相談であっても、その答えを聞いていると自分の心も軽くなってくる、まさに「相談の達人」なのです。