大阪カジノIR用地、市が事業者への賃料を「不当に安くした」疑惑が浮上大阪港湾局は、大阪湾の人工島である夢洲の大阪IR用地について、4社に鑑定評価を委託し、2019年に各業者が不動産鑑定書を発行した。このうち3社の鑑定評価で、土地単価が1平方メートル12万円、期待利回りは4.3%で一致した Photo:PIXTA

大阪・夢洲に誘致するカジノを含むIR(統合型リゾート施設)において、用地の賃料が不当に安くなっている疑惑が浮上した。行政から依頼を受けた不動産鑑定業者4社のうち3社の鑑定評価で「土地の単価」「期待利回り」が全く同じであることが分かったのだ。一致する確率は「宝くじ1等に当選するよりも低い」と不動産鑑定士は言う。(ダイヤモンド編集部副編集長 臼井真粧美)

3社の鑑定評価が一致
「宝くじ当選よりも低い確率」

 大阪府・市がカジノを含むIR(統合型リゾート施設)を誘致するにあたり、市が民間事業者に貸し出す用地の賃料が不当に安くなっている疑惑が浮上した。

 大阪港湾局から依頼を受けた不動産鑑定業者4社のうち3社の鑑定評価で「土地の単価」「期待利回り」が全く同じであることが分かったのだ。これにより「賃料」もピタリと一致。大阪市はすでに鑑定評価の通りに賃料を定めた。

 各業者の鑑定評価書に目を通したある不動産鑑定士は、「この用地を複数の業者が鑑定評価して土地単価と期待利回りが一致する確率は、宝くじ1等に当選するよりも低い。こんな偶然の一致はあり得ない」と目を丸くする。また、土地単価と期待利回りから算出された賃料は「安すぎる」とも指摘する。

 次ぺージでは、この疑惑の詳細に迫る。