大阪市議会の委員会で答弁する「大阪IR株式会社」共同代表のエドワード・バウワーズ氏(右)。左は共同代表の高橋豊典氏=16日、大阪市役所大阪市議会の委員会で答弁するMGM日本法人のエドワード・バウワーズCEO(右)。左はオリックスの高橋豊典氏=16日、大阪市役所 Photo:JIJI

3月16日に大阪市議会で開かれた、大阪のカジノを含むIR(統合型リゾート)事業者の参考人からの意見聴取で、事業者側は、土壌汚染、液状化現象に続く「地盤沈下」のリスクに言及。オリックス幹部は、対策ができなければ、撤退について「見極める時期が来るかもしれない」と述べた。市はこれまで、事業者側の同様の発言に応じて公費支出を決めた経緯があり、さらなる公費負担を求められるのか。(ダイヤモンド編集部 岡田 悟)

大阪IRで事業者に意見聴取
参考人にオリックスとMGMの幹部

 新しい事実や課題は明らかにならず、事業者が大阪府市の鼻面を取って引き回す構図が、よりはっきりとしただけだった。

 大阪市議会都市経済委員会は3月16日、大阪湾内の埋め立て地「夢洲」で2020年代後半に開業予定のカジノを含むIR(統合型リゾート)事業者の企業連合を構成する、米国のカジノ大手MGMリゾーツ・インターナショナルの日本法人とオリックスの双方の責任者を参考人として呼び、意見聴取した。

 IR予定地の夢洲では、20年12月から21年1月にかけて土壌汚染や液状化現象のリスクが明らかになり、MGMオリックス連合は市の負担で対策を行うことを要請。市はこれまでの「公費負担はない」との説明に反して21年12月、790億円の対策費用を負担すると表明した。

 港湾を所管する市の大阪港湾局は、過去に市が土地を売却または賃貸する際にこれらの対策費用を負担しないことを原則としてきたことから、土地所有者として対策を実施する責任はないと主張。これに対し、カジノを看板政策としている大阪維新の会の最高実力者である松井一郎大阪市長は21年6月、政治判断で市が負担する方針を決めた。

 3月16日に開かれた市議会では、オリックスグループの関西代表で、IRの運営会社である大阪IR代表取締役の高橋豊典氏が参考人として出席。自民党の森山禎久市議会議員から、これまで市側に土壌対策の公費負担を要望し、それがなければ撤退する可能性を伝えたことがあるのかどうかを聞かれた。