110番で「スマホ動画送信」今日から可能に、発端となった悲しい事件とは「110番映像通報システム」は、警察官が現場に到着する前に通話での説明だけでなく、映像による情報で状況を正確に把握し、迅速な初動対応につなげるのが狙い(写真はイメージです) Photo:PIXTA

全国の都道府県警察は1日から、110番通報者がスマートフォンで撮影した動画や画像(以下、映像)を送信してもらう「110番映像通報システム」の試行運用を始めた。警察官が現場に到着する前に通話での説明だけでなく、映像による情報で状況を正確に把握し、迅速な初動対応につなげるのが狙い。半年間の施行を経て改善点などを洗い出し、来年4月から本格的に運用する方針だ。(事件ジャーナリスト 戸田一法)

スマホを活用して
現場の状況をリアルに送信

 全国紙社会部デスクによると、運用は事件や事故、災害での通報を想定。110番を受理した警察本部の通信指令室(警視庁は通信指令本部)担当者が、通報者に映像提供の協力と同意を求める。

 了承が得られたら、システムへ接続する専用サイトのURLを、通報者のスマホにショートメッセージ(SNS)で送信。通報者がシステムにアクセスし、担当者から口頭で伝えられる数字4桁のコードを入力してログインすると、映像を送信できる仕組みだ。

 現場の様子をリアルタイムで送信でき、スピーカー機能を使って同時に通話も可能。担当者の指示で「レンズを左側に移してください」などのやり取りもできる。撮影済みでフォルダに保存された映像も送れるという。