政府と日本銀行による直近の為替介入については、効果に乏しいとの見方が少なくない。しかし、政府・日銀は、為替介入の水準と時機を周到に準備しており、急激なドル高・円安を阻止することで、一定の成果を挙げる見込みがある。政府にとって、1ドル=145円~147.66円は「防衛ライン」といえ、1ドル=150円はやや遠のいた可能性がある。
24年ぶりのドル売り・円買い介入
政府と日本銀行は9月22日夕方、為替介入に踏み切った。政府・日銀によるドル売り・円買い介入は、バブル崩壊後、日本の金融危機のさなかに円安が進んだ1998年6月以来、24年ぶり。この介入を受けて、ドル円相場は1ドル=145円台後半から140円台前半まで急落した。しかし、本稿執筆時点では1ドル=144円代半ばまで反発しており、「介入の効果は短命で、特に単独かつ自国通貨買いの場合は持続しにくい」という市場参加者の見方を裏付ける動きとなっている。
そもそも今回のドル高円安の動きは、FRBと日銀の金融政策の違いと、それを反映した両国間の金利差に支えられている。さらには、資源価格の高騰が交易条件の改善につながる米国と、交易条件が悪化する日本との違い、もっと言えば、日米のファンダメンタルズの根本的な差がドル高円安の誘因である。その違いを為替介入だけで解消できないのは、誰の目にも明らかだろう。