前回【前編】は、「私がなぜこの連載を企画したのか?」「私がなぜ、社長の仕事力にこだわるのか?」を読者の皆さんにお伝えすべく、その理由をご説明しました。そして、【後編】となる今回は、「社長の仕事術から何を学び、一般のビジネスパーソンがそれをどう活かすべきか?」について、具体的にお話ししたいと思います。

「社長の仕事力」は
あなたも実践できる!

 「社長」というと、一般のビジネスパーソンからは遠い存在のように思われるかもしれません。しかし、そうではありません。社長といっても、その仕事力に必要なエッセンスは極めてシンプルなもの。一般のビジネスパーソンでも必ず活用することができることばかりです。私は、社長の仕事力から学べることは、少なくとも次の2つがあると思っています。

高城幸司
 1つは「決断力」、そしてもう1つは「リーダーシップ」です。これらは、人の上に立ち、組織を率いていく人にとっては必要不可欠なスキルであることは言うまでもありません。しかしこれらは、一般のビジネスパーソンにとっても非常に重要なスキルであるのです。ある意味、これらのスキルを身に付けることが、多くの同僚たちの中から頭1つ抜け出すための近道であるといえます。これらのスキルがなぜ必要であるか、その理由をひも解いていってみましょう。

「代わりのいない存在」になるために
時にはリスクを伴う決断も

 どんなビジネスパーソンであっても、日々の仕事の中で、決断を迫られる場面が少なからずあります。

 例えば、顧客への新規提案のプレゼンにおいて、イチかバチかの勝負をかけるか、それとも無難にまとめるか――。あるいは、部署異動のチャンスを与えられたときに、海のものとも山のものともわからない新規事業の部門にチャレンジするか、安定した業績を上げている既存事業の部門に行くか――。etc・・・。

 こういう場面において、多くの人はなるべくリスクの小さいほうを選択してしまいがちです。新規か既存かなら「既存」を、やるかやらないかなら「やらない」という意思決定を下してしまう。もちろん、リスクをきちんと見極める力は大切です。しかし多くの場合、あくまでリスクを避けているだけのケースが多く、これでは「決断」とはいえません。「決断」というのは、ただ何かを選択すればいいというわけではありません。リスクと引き換えに何かを手に入れたい、そのために挑戦するかしないか、それが決断だと思います。リスクのない挑戦は決断とはいえないのです。

 そういう意味では、決断するときの基準というのは、「自分がそれを選択することで、代わりのいない存在になれるか」、ないしは「その成果が、高い市場価値を生み出せるか」であるべきだ、と私は考えています。リスクをとって決断することが、自分を成長させることにもつながるからです。

 例えば、かつて私がサラリーマンだったころ、とにかく派手で人気のある既存部門ばかりを転々としている同僚がいました。彼はいつも「仕事が楽しい」と言っていましたし、そこそこの成果は出していたようでしたが、結果的に社内でのポストは上がりませんでした。それとは反対に、社内で大きく伸びたのは、新規事業や再生事業など、風当たりの強い部門に所属していたもう1人の同僚でした。困難な状況の中でも大きな成果を出し、事業を成功させていったのです。彼は、結果的に責任あるポストを任され、社内外で高い評価を得ていきました。