ボーイング787の運航停止が、全日本空輸(ANA)のドル箱を直撃している。長引けば収益に影響を与えそうだ。
17機を保有するANAは、毎日、国内線・国際線を合わせて20~30便ずつを欠航。しかも、羽田~札幌、羽田~福岡といったドル箱の幹線を含む羽田便を中心に間引いている。例えば、1月23日は欠航となった国内線20便のうち、羽田~札幌が4便、羽田~福岡が8便だった。
欠航便が不採算の地方路線ではないのにはワケがある。
一つは機材繰りの問題だ。
地方路線は、約150席の小型機、B737によって就航している。機材繰りの関係上、中型機以上の機材で就航している路線が欠航対象となりやすい。
もう一つは、地方への配慮だ。
1日に1~3便程度しか就航していない地方路線は、1便が欠航になった際の影響が大きい。特に最終便が欠航になると、出張に影響を受ける人が多く、夕方~夜の便は飛ばしてほしいという要望が多いという。
これに比べて、羽田~福岡、羽田~札幌といった幹線であれば1日20便近くが就航しており、前後の便に振替えが可能だ。
ANAに対して、7機を保有する日本航空(JAL)は、影響は限定的である。今のところ、1日に国際線2便ずつしか欠航となっていない。
空港側の受け入れの問題で、1月28日までは米サンディエゴ線が欠航するが、体制が整う1月30日からは米ボストン線とモスクワ線が日替わりで欠航となる予定。搭乗率の低い路線から欠航とする。B787をもって2月下旬から開設する予定だったヘルシンキ線は、予定通りに就航するか未定としている。
さらに、国内ではANA便の欠航により、1日約1000人の顧客がANAからJALに流れているもよう。ANAの国内線1人当たりの平均単価1万6200円で計算すると、両社の間でざっと1日に3200万円ずつ差が出ている勘定だ。