10月11日、水際対策が緩和され、インバウンド(訪日外国人)の個人旅行が解禁された。台湾人・香港人に特化した日本観光情報サイト「樂吃購(ラーチーゴー)!日本」を運営し、「台湾で最もFacebookファン数の多い日本人」である筆者が、台湾人訪日客の最新事情を解説する。(ジーリーメディアグループ社長 吉田皓一)

台湾で「日幣囤積(日本円の買いだめ)」がブーム
日本円は対台湾ドルで30〜40%安い

 いま台湾では、「日幣囤積(日本円の買いだめ)」がブームだ。この3年間で台湾経済は力強く成長し、日本円は対台湾ドルで30〜40%安くなった。円安のうちに日本円を買いだめする人が少なくない。

 日本メディアとして最大の台湾人・香港人(繁体中国語圏)ユーザーを有する訪日観光情報サイト「樂吃購(ラーチーゴー)!日本」(2019年に月間250万UU、現在は月間120万UU)では、サイトのユーザー4784人を対象に「訪日旅行に関する意識調査」を実施。「次回の日本旅行のタイミングは?」の問いに対し63.8%が「渡航・入国規制が解除されたらできるだけ早く」と回答した。

 また、「訪日旅行のために貯金をしていますか?」の問いに対しては、「11万円~30万円」と回答した人が23.8%、「31万円~50万円」「51万円以上」と回答した人もそれぞれ10%超もいた。

「訪日旅行のために貯金をしていますか?」の問いに対する回答。ラーチーゴー2022年8月調査
「訪日旅行のために貯金をしていますか?」の問いに対する回答。ラーチーゴー2022年8月調査 拡大画像表示

 台湾の旅行会社も、今冬以降の日本ツアー商品の造成で大忙しだ。ある台湾航空会社の日本支店関係者は、「当面の座席在庫は台湾内で全て売り切ってしまう。われわれ日本支店に回る在庫がないかもしれない」と苦笑する。それほど、台湾の日本観光は爆発の兆しを見せている。

 2010年に年間100万人程度だった訪日台湾人客数は、19年実績で489万人にまで増加した。訪日外国人数を国・地域別で見ると、中国(959万人)・韓国(558万人)に次いで3番目の多さだ。

 ただ、台湾の人口はわずか2300万人である。それゆえ「訪日率」(総人口からみる年間訪日客数の割合)は20.7%となり非常に高い。中国の同0.6%、韓国の同10.7%と比べてダントツだ。