中国の不動産Photo:Future Publishing/gettyimages

 中国の不動産大手、中国恒大集団(チャイナ・エバーグランデ・グループ)が昨年、多額の債務で苦境に陥った時から、同国全土に広がる連鎖反応が静かに始まった。

 中国当局はこの巨大企業の無秩序な崩壊を防いだものの、同社の資金繰り悪化は中国の住宅市場や多くの関連業種にも波及。今年に入って状況は悪化し、本格的な不動産不況を引き起こした。それは中国経済の主要な足かせとなっている。

 建設サービスや鉄鋼・塗料などの建築資材を扱う企業は、恒大から支払いを受けられず、大損害を被っている。そのため人員削減に踏み切ったり、取引先企業への支払いに窮したりする企業が出ており、結果的に幅広い企業に被害が及んでいる。

 恒大の未完成住宅に貯蓄をつぎ込んだ多くの人々は、中途半端な状態に置かれたまま1年以上が過ぎ、約束された物件がいつ手に入るのかも不明だ。中国大手開発業者の新築マンション販売戸数は、15カ月連続で前年同月比大幅減となり、好転の兆しは見えない。