多くのビジネスパーソンから、「会議がうまく仕切れない」「無駄な会議だと言われる」「何度も似たような会議を繰り返してしまう」「結論が出ない」といった悩みを耳にする。しかし、「1ページ」のメモを事前に作り、その場で配布してうまく活用すれば、会議の進行は大きく変わる。何より、「1ページ」の力は、ミーティングをうまく仕切れなかった著者自身が、P&G、楽天、フェイスブック、MOON-Xと業界も会社も、自分の役割さえも変わっても、一貫して変わらず、実感し続けている。当連載では、『今すぐ結果が出る 1ページ思考』(長谷川晋)にまとめられている「1ページ」を活用した会議の進め方などを解説していきたい。

パワポで大量のスライドを作る人にありがちな失敗Photo: Adobe Stock

「1ページ」は思考を研ぎ澄ませる

 P&Gで「1ページ」を初めて作ってみたときは、自分が話したい項目を3、4行、箇条書きで記載しているだけでした。それをプリントアウトした1枚ものの紙をミーティングの最初に配るだけの、シンプルなものでした。

 そこから、ミーティング用の「1ページ」は、だんだんと進化していったのですが、そのポイントの一つが「自分が話したいことだけではなく、みんなに話してほしいこと、突っ込んでほしいこと」を意図的に入れるようにしたことでした。

 チームのメンバーをリアルに想像するようになったことで、「あの人には、こんな話をしてもらえるといいな」「あの人には、こんな質問をしてみたいな」といったことがどんどん浮かんでくるようになったのです。

 自分が言いたいことだけを詰め込むのではなく、隙間をちゃんと作る。相手からインタラクションをしてもらえるようにする。そこまで考えたものを作る。そういうことができるように、徐々に「1ページ」自体も変わっていったのです。

 やがて、「やっぱり『1ページ』は使える!」と改めて気づくことができたのは、継続性のある取り組みに活用したときでした。例えば、ビジネスや組織の年間計画や次年度の戦略など、毎年、必ず検討・討議されるようなものです。

 うまくいっているものは、それを継続したり加速したりさせる。うまくいっていないものは、それを止めたり修正したりする。とてもシンプルな考え方ですが、驚くほど実践的でパワフルなアプローチです。このような考え方を反映させた議論をしたいときには、「1ページ」が大きな威力を発揮します。なぜなら、思考のステップや流れを一覧で見せることができるからです。

 何がうまくいっていて、何がうまくいっていないか。そこからの学びは次年度のプランにどう反映されているか。「1ページ」だと、この関係がよく見えます。

「今年の結果はこうでした」「それに基づいて来年の目標はこうします」というゴール設定における考察も、1枚ものだと隠しようがないほどにストレートに表れます。一貫性を持って語らざるを得なくなるのです。