パワーポイントの知られざる弱点
これがパワーポイントであれば、「今年はこんな感じでした」「こんなにうまくいきました/いきませんでした」「来年はこれをやります/こう変えます」とスライドが展開されていくだけです。「はい、次のスライド」で前のスライドの詳細は忘れ去られてしまう。
これはパワーポイントの特徴の一つだと思いますが、どんどん「はい次」と展開していけるので、極論すればノリでごまかせてしまえるのです。
しかし、本来は情報をきちんと整理し、それに基づいてプランニングをして、前に進めないといけないはずです。過去のレビューと未来のやるべきことの一貫性が重要になるので、それをしっかりと紐付けて考えを整理していくには、1枚もののほうが圧倒的にいいのです。
しかも「1ページ」であれば、スペースに制約がありますから、大事なポイントにフォーカスせざるを得なくなります。1枚の中に「レビュー」「来年のゴール」「やるべき戦略」「今後の進め方」までを入れようとすると、各項目に使えるスペースは必然的に決まってきます。
レビューばかりを多くするわけにはいかないので、大事なポイントにフォーカスせざるを得ない。考えをより凝縮していく必要が出てくるのです。
逆に読む側は、新しいプランに過去からの学びがどう反映されたかが、一目瞭然で見えてわかりやすいのです。
基本的に社長や部長などの意思決定者は多忙です。パッと見て、「ああ、これはいいね」というものであれば、間違いなく喜ばれます。そこに、何十枚ものスライドを作って持っていき、時間をかけてプレゼンをすることになるとしたら、どうでしょうか。
商談であれば、さらに状況はシビアになります。いつ結論が出てくるかわからないような、ものすごく数の多いスライドの資料をパワーポイントで作って提案する場面はよくあると思いますが、見ているほうは実はかなりしんどいことも多い。
人は先がわからないものに対してはネガティブなのです。だから、パッと一覧できたほうがいい。大事なポイントにフォーカスされ、研ぎ澄まされて作られた1枚のほうがいい。
たった「1ページ」で、こちらの力量は相手に伝わります。どこまで考えて書いているのか。研ぎ澄まされた思考で作られたものは、「1ページ」ですぐに伝わるのです。
※当記事は、『今すぐ結果が出る 1ページ思考』より一部を抜粋・編集したものです。
MOON-X Co-Founder/CEO
2歳から9歳までアメリカ、シアトルで育つ。京都大学経済学部卒、体育会ハンドボール部主将。2000年に東京海上火災入社、法人営業担当。P&Gで10年間、Pampers・Gillette・BRAUN・SK-IIなどのマーケティングおよびマネジメントを統括。その後、楽天の上級執行役員としてグローバルおよび国内グループ全体のマーケティングを管掌。2015年Facebook Japanの代表取締役に就任、在任中にInstagramの国内月間ユーザー数は810万から3300万に。2019年8月に「ブランドと人の発射台」をミッションに掲げるMOON-X Inc.を創業。現在、自社D2Cブランドを展開すると同時に、共創型M&Aや他社ブランドの支援も展開中。『今すぐ結果がでる 1ページ思考』(ダイヤモンド社)が初の著書。
MOON-Xコーポレートサイト:https://www.moon-x.com/
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