東名高速で2022年10月10日未明、単独事故を起こし車外に出たところ後続車にはねられて女性が死亡、男性が重傷を負う事故があった。事故の当事者が取るべきだった最善の対応策は何だったのか?将来技術も踏まえて考える。(ジャーナリスト 桃田健史)
単独事故で三車線の中央に止まる
後続車が避けきれず人と接触
「こうした状況で、どう行動するべきだったのか?」
2022年10月10日午前0時過ぎ、横浜市青葉区の東名高速道路下り線で発生した人身事故の報道を見て、そう感じた人は少なくないのではないだろうか。
各種報道によると、事故発生地点は横浜青葉ICまで約5キロで緩い右カーブになっている三車線道路だ。ここで男女4人が乗る乗用車が単独事故を起こし、ガードレールなどに接触した後、3車線の中央車線で同車両が停止した。
この後、乗車していた4人のうち、2人は中央分離帯に避難したが、残る2人のうち20歳の女性が追い越し車線を横切ろうとしたところ後続車と接触し、その後病院に搬送されたが死亡が確認された。また、もうひとりの男性も追い越し車線で別の後続車と接触して重傷を負った。
さらに、2台の後続車が玉突き衝突を起こして、合計5台が事故に巻き込まれた。
この事故発生地点を含む東名高速下り線の一部は、約9時間にわたり通行止めとなり、三連休だったこともあり多くの高速利用者に大きな影響を及ぼした。
中日本高速道路(NEXCO中日本)によると、東名高速道路を含め同社が管理する高速道路での交通死亡事故は、05年で88件だった。その後、年によって増減があったがおおむね減少傾向で、20年には21件と過去最低となっている。
これは、単独事故や渋滞・故障で高速道路上に停止している車両と衝突する事故による死亡者が大幅に減ったためだ。その要因について具体的な説明はないが、渋滞中の低速走行時は近年普及が進む衝突被害軽減ブレーキ(いわゆる自動ブレーキ)の効果があり、また、道路インフラ側の各種表示などの注意喚起の改善が進んでいるからではないかと、筆者はみている。
一方で、高速道路上で人がはねられる事故は逆に増加しているのだ。
では、今回のような状況に遭遇した場合、ドライバーや乗員、そして後続車のドライバーはどのような行動を取ることが、事故を最小限度にとどめることにつながったのだろうか?