マイクロソフトはその未来的なヘッドセット「HoloLens(ホロレンズ)」で、仮想空間「メタバース」を巡る競争をいち早くリードした。7年後、仮想世界の映像を現実世界の視野に重ねて表示する「拡張現実(AR)」への大規模な投資は、技術や経営陣の忍耐の限界に直面している。王冠のように頭にかぶる輪っか型のコンピューターで、そこに組み込まれたゴーグルにデジタル情報を表示するホロレンズは、ヒット商品にはなっていない。マイクロソフトは新バージョンの計画を棚上げしており、その最大の買い手である米陸軍の技術的な要件を満たすのにも苦戦している。同社の元社員やビジネス向け交流サイト「リンクトイン」のプロフィルによると、ここ2年で100人を超える従業員がホロレンズチームを去った。その中には、長年チームを率いていた責任者も含まれる。マイクロソフトは、増益率の減速を受けた全社規模の経費と人員削減の一環として、1000人を超える同チームの再編と予算縮小に踏み切った。