人材育成やチームの目標達成、部下とのコミュニケーション…リーダーにはさまざまな責務がのしかかる。悩みを抱えていないリーダーなどいないだろう。
そこで参考になるのが、リーダーシップの世界的権威で、全世界でシリーズ累計1800万部を記録するベストセラー著者、ジョン・C・マクスウェル氏の『「人の上に立つ」ために本当に大切なこと』だ。優れたリーダーになるための「21の原則」を明かした本書より、「本当に誠実な人」と「誠実そうで実は裏がある人」を見分ける方法を解説する。(構成/根本隼)
「本当に誠実かどうか」は逆境のときにバレる
人生のさまざまな状況にどう対処するかによって、リーダーの人格の多くが浮き彫りになる。危機が人格を練り鍛えるとはかぎらないが、人格を露にすることは間違いない。
逆境に直面するとき、人は人格か妥協か、2つの道から1つを選ばなくてはならない。もし人格を選ぶなら、その選択がマイナスの結果をもたらしたとしても、そのたびにその人は以前より強くなっていく。
「本当に誠実な人」は口先だけでなく行動で示す
「自分は誠実な人間だ」と口で言うのはたやすい。しかし、行動こそが人格の真の指標である。
だから、リーダーの人格と行動は、絶対に切り離して考えることができない。もしリーダーの意図と行動がちぐはぐだったら、その原因はそのリーダーの人格にあると考えてもいい。
「誠実そうで実は裏がある人」は困った時に逃げる
人生にはどうすることもできないことが多々ある。まず、親を選べない。生まれ育つ場所や環境も選べない。才能や知能指数も選べない。しかし、人格は選べる。
われわれは何かを選択するたびに、人格を作り上げているのだ。困難な状況から逃れるか、それを打開するか。真実をねじ曲げるか、その重みに耐えて立つか。楽をして金儲けをしようとするか、まっとうな代価を払うか。
あなたが今日どのように生き、どのような選択をするかが、あなたの人格を作り上げていく。
人格が未熟な人は昇進後にボロが出る
才能豊かな人たちが一定レベルの成功を収めた後、突然、鳴かず飛ばずになってしまうのを見たことがあるだろう。その現象を解くカギは人格にある。
ハーバード大学医学部の心理学者スティーブン・バーグラス博士によると、たとえ大成功を収めても、そのことがもたらすストレスに耐えられる人格的基礎を持たない人間は、やがて悲惨な結末を迎えるという。
博士は、そういう人物は次の4つの罠のどれかに陥りやすいと指摘している。すなわち、傲慢、孤立感、破滅的な冒険心、不倫である。どれも、弱い人格ゆえに払うはめになるひどい代償だ。
成功のストレスから距離を置こう
バーグラス博士が指摘する4つのどれかに陥りそうな予兆を感じたなら、少し時間をとって休養することをお勧めする。成功のストレスから距離を置くために必要なことをし、専門家に相談するのも一案だ。
人格のひずみを見極めないかぎり、そのひずみは時間の経過とともにますます大きくなり、身を滅ぼすことになりかねない。
(本稿は、『「人の上に立つ」ために本当に大切なこと』より一部を抜粋・編集したものです)