円安が巨大テクノロジー企業ソニーの利益を押し上げている。それでも世界経済に漂う暗雲はソニー株に重しとなるだろう。投資家が本当に注目すべきは来たるホリデーシーズンである。ソニーが1日発表した7-9月期決算は、売上高が前年同期比16%増、営業利益が8%増だった。売上高はアナリスト予想を下回ったものの、営業利益は予想を上回った。S&Pグローバル・マーケット・インテリジェンスがまとめたアナリスト予想では、営業利益は減少すると見られていた。ソニーは、3カ月前に下方修正したばかりの2023年3月期通期の営業利益見通しを上方修正した。主因は円安だ。対ドル円相場は年初来22%下落しており、本来であれば残念な業績となるはずだったものがかさ上げされた形だ。為替レートが変わらなければ、売上高は前年同期比1%増にとどまっていたはずだ。ソニーは円建てで決算報告をしているが、同社の売上高と利益のほとんどは海外からもたらされている。