[制作者]
 電子書籍データはWebページと似たフォーマットになっており――ブックデザインの経験があるに越したことはありませんが――テクニカルにはむしろ、Webページよりも電子書籍データのほうが単純です。

 ネットバブル崩壊後もWebデザイナーの数は増え続け、人余りに近い状況になっていましたが、このデザイナー(人材)が蓄積されていたお陰で、制作パワーが逼迫することもなく、「コンテンツ緊急電子化事業(緊デジ)」に於いて――従来、図版が多く電子書籍化には不向きとされていたシリーズに対しても――比較的スムーズに対応できたのだと思います。

利用経験者が増加する一方、利用意向は二極化

 以上では、2012年を「元年」としてよいかどうか、主に供給サイドを見てきましたが、この方向からの議論だけでは読者不在は否めません。

 ただ、本欄で電子書籍の「利用者数(推移)」や「タイトル数」、「専用リーダーやタブレットの普及率」を予測することにあまり意味は感じられませんし、それらがどれくらいの割合に達すれば「元年」と言えるのか? についても明確な答えがあるわけではありませんので、普及率やある時点での利用経験・利用意向に関しては、巷間の“kindle発売後の”調査結果に委ねたいと思います。

 筆者としては、電子書籍の利用経験や利用意向について、当時「元年」と言われていた2010年と2012年とを比較した楽天リサーチの調査結果(「週刊ダイヤモンド」 2012.12.22号 p127 にも掲載)に注目したいと思います。(ただし、発表日からもわかるように、kobo & Kindle発売前の数字ですので、その後、傾向に変化がある可能性があることをお断りしておきます。)

 上から2つめのグラフ「◇電子書籍の利用経験と今後の利用意向(n=1000) 単位:%」から、2010年と2012年について、「利用したことがあるかないか」「今後利用したいかしたくないか」を集計してみると以下のようになります。

             2010年   2012年    比較 

  利用したことがある   14.7%   21.4%   +6.7%
  利用したことはない   85.3%   78.6%   

  今後利用したい             64.3%        55.9%   -8.4%
  今後利用したくない         35.7%    44.1%