●政治活動への関与要求頻度は、創価学会がかなり高かった
●「信心のおかげで成功できたんだね」との頻繁な声がけ経験が最も多かったのは、創価学会2世回答者
●「不満は抱くも、辞めない創価2世」という傾向は、特徴的だ

 この調査で名前の出ている旧統一教会2世では、既に小川さゆりさん(仮名)が会見を開いて、「(教団を)解散させてください」と訴え、多くのメディアにも出演している。また11月7日には、エホバの証人の3世として育った夏野ななさん(仮名)が野党のヒアリングに参加して、教団の活動に不真面目だとして親からベルトで叩かれるなどの体罰を受けていたことを明かした。

「となると、次は創価2世も…」という憶測も飛び交っている。

高額献金は「宗教あるある」、論点ずらしは許されない

 Twitterでは、「創価学会2世」というプロフィールのアカウントが「高額献金」に関して次のように発信し、話題になっている。

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私の母親(故人)の創価学会への寄付の領収書を確認しましたらおおよそ通算で1000万円以上、創価学会に寄付してました。仕事を持たない主婦がですよ。晩年、母はお金がありませんでした。#創価学会さん 母に返してあげてほしかったです。
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 この手の話については、実は山上徹也容疑者が事件を起こしてすぐ、7月17日にABEMATVに出演した宗教学者の島田裕巳氏も次のように述べていた。

「統一教会に限らず、色々な団体で高額なお金を出す例はある。私の知り合いで創価学会に一家で8000万円献金したという方もいるので、そういう例はあると思う」

 爆笑問題・太田光さんのように「旧統一教会擁護」と叩かれて、自宅に卵を投げつけられたりもしてしまうので専門家もこういう話はあまりしないが、実はほとんどの宗教で「高額献金」というものは存在している。しかも、その多くは信仰にのめり込んで、家族や周囲の人に黙って献金しているケースも多い。

 つまり、「被害者救済」の名のもとで、献金の総量規制などをするとなると、宗教法人としての運営そのものを根幹から見直さないといけない団体が山ほどあるのだ。なので、一部の宗教団体は高額献金問題を「旧統一教会が悪質なのは、日本人の金を韓国へ流出させていたことだ」という方向へと論点をずらして、献金ではなく、「海外送金」に対する規制にとどめようとしている。

 ただ、このように旧統一教会への国民の怒りが、創価学会にまで飛び火している状況を見れば、さすがにそんな「骨抜き」は許されない。

 もし「信教の自由」を理由に、寄付の取り消しや高額献金の問題をカバーしない「骨抜き法案」を通したり、今国会での提出を先送りするようなことがあれば、岸田政権の支持率が危険水域になるだけではなく、公明党批判も強まるだろう。ひいては、深刻な創価学会バッシングを引き起こしてしまう恐れもある。

 政府与党として、このような展開は避けたい。となると、野党に歩み寄って、被害者や霊感商法に取り組む弁護士らが要求している、「家族ら第三者による寄付の取り消し権」「マインドコントロール下での高額献金禁止」をしっかりと盛り込んだ新法ができるのではないか。そのような期待を抱いている人も多いことだろう。

 ただ、筆者はそれでも今回の被害者救済法は「骨抜き」にされるか、「先送り」にして世間の関心がなくなるのを見計らって廃案へ持ち込むのではないかと思っている。

 仮に公明党が世論を警戒して、最大限の譲歩をしてきたところで、自民党内の意見が分裂して、「高額献金」などの問題が棚上げされるだろう。なぜかというと、自民党というのは組織構造的に、宗教団体を怒らせる政策ができない政党だからだ。