賢人100人に聞く!日本の未来#47

新型コロナウイルスの感染拡大は、新宗教やカルト教団の活動にどのような影響を与えたのか。特集『賢人100人に聞く!日本の未来』(全55回)の#47では、全国霊感商法対策弁護士連絡会事務局長として、30年以上にわたり被害者救済のためカルト教団と戦ってきた山口広弁護士に話を聞いた。(ダイヤモンド編集部 宮原啓彰)

不安に乗じるのが
カルト教団の常道

――新型コロナウイルスの感染拡大により、一部の大学が注意喚起を促すなど、カルト教団の活性化が懸念されています。

 カルト教団は、かつてのオウム真理教がそうだったように、社会不安に乗じて“教勢拡大”を図るのが常です。実際、このコロナ禍でも、例えば全国の大学が、学生たちをどうやってカルトから守ればよいのか非常に頭を悩ませる事態になっています。

 今の学生は、コロナ前は当たり前だった他者との接触ができません。入学したはいいが友達もできない、講義はオンライン……。「一体、何をしに大学に入ったのだろう」という不安な状態に置かれているわけです。あるいは、テレワークにより自宅で鬱々としているビジネスマンもおそらく多いでしょう。

 そういう“閉じこもる”人々をターゲットに、一部のカルト教団は、楽しげなサークル活動を装うなどしてSNSをはじめ、インターネットを駆使した布教を活発化させています。

 しかしながら、大学側は、それまでオリエンテーションなど講義室で行ってきた注意喚起が「3密」回避のためにできず、布教の実態もつかめない状態に陥っているのです。

――具体的にどの教団が、勢力を伸ばすことに成功しているのでしょうか。