習近平主席3期目で
強まる独裁体制
10月22日の共産党大会閉幕から半月あまりが過ぎ、中国の新体制に対する評価は概ね出尽くしたようであるが、最も多いのは「習近平国家主席の独裁体制強化」との見方であろう。
その根拠を並べると、まずはチャイナ・セブンと呼ばれる最高指導部(政治局常務委員)の68歳未満という定年を破り、自身の総書記3期目を実現したことである。もちろん、この定年はあくまでも慣例であるが、暗黙のルールとされていた。それを破っての人事は、もはやルールよりも習総書記個人の意向が優先されることを意味する。
さらに、ポスト習近平候補が見当たらない点も指摘されている。15年前に当時54歳の習近平氏と52歳の李克強氏がチャイナ・セブンに選ばれたように、これまでは将来のリーダー候補として50代をチャイナ・セブンに加えるのが慣例だったが、今回は60歳の丁薛祥氏が最若年である。もはやリーダー候補のルールも消滅したと考えるべきかもしれないが、習近平政権4期目の可能性を示唆するものと受け止められている。
もう一つの根拠は、チャイナ・セブンのほぼ全員が習総書記に極めて近い人物で固められたことである。
今回、慣例上の定年未達にもかかわらずチャイナ・セブンから退いた李克強首相と汪洋全国政治協商会議主席は、ともに中国共産党のエリート養成組織である共青団(中国共産主義青年団)の出身であり、習主席の独断政治を牽制(けんせい)できる存在とされていた。
さらに、チャイナ・セブン入りが有力視されていた胡春華副首相も共青団出身であるが、59歳という年齢からポスト習近平候補とされたことが災いしてか、降格人事で逆にチャイナ・セブンが遠のいた。