男性の3.5人に1人、女性は5.6人に1人が生涯未婚と、独身者は急増中。いまや「一生ひとりかもしれない」というのは、普通の感覚です。しかし、税金や社会保険などの制度は結婚して子どもがいる人を中心に設計されており、知らずにいると独身者は損をする可能性も。独身者と家族持ちとでは、本来お金についても老後対策についても「気を付けるべきポイント」が違います。独身者がひとりで楽しく自由に生きていくためにやっておくといい50のことを税理士の板倉京氏が著した「ひとりで楽しく生きるためのお金大全」から、一部を抜粋して紹介します。

おひとりさまが善意でやりがちだけど、絶対やらないほうがいいこととは?Photo: Adobe Stock

独身者は親の介護をしょいこみがち

 いろいろな相談を受けてきた経験から申し上げますが、「独身者は親の介護をしょいこみがち」です。

「独身は自由で身軽だから」と、親族から押し付けられるパターンもありますが、実は独身者本人が、家族がいる他のきょうだいに遠慮して自ら親の介護をしょい込んでしまうケースも多々あります。なかには、仕事を辞めて(介護離職)、親と同居しながら面倒を見るという人も……。

介護離職はイバラの道と知っておこう

 介護離職は危険です。「仕事もつらいし、親の年金や財産で暮らせそうだから」と安易に退職してしまうと大変な目に合うことも。

 介護のために退職した場合、親がいるうちは親の財産や年金で暮らせても、親が亡くなったあとは親の年金はなくなるし、きょうだいがいれば親の財産を勝手に使うこともできません。「ひとりで介護をしたのだから、相続では財産をたくさんもらえるはず」と思っていても、必ずしも相続で有利になるわけでもありません。

 逆に、介護をした人としていない人の相続争いは非常に多く、嫌な思いをした上に、大した財産をもらえなかった、なんて話もよくあるのです。

 しかも、親の死後、再就職をしようとしても、そう簡単ではありません。ましてや、以前と同じ条件での職場への復帰など、ほぼ無理です。早期退職をすれば、将来の年金収入も減ってしまいます。

「独身で身軽だから」と親の介護をひとりでしょい込む必要はありません。ではどうすればいいのか、本書ではその方法についてもお話しています。

*本記事は、独身者向けのお金&老後対策を書いた、板倉京著「ひとりで楽しく生きるためのお金大全」から、抜粋・編集して構成しています。