「算数が得意な子と苦手な子」小4の夏以降、学力差が広がるワケPhoto: Adobe Stock

開成、麻布、桜蔭、雙葉、筑駒、渋幕……東京・吉祥寺を中心に都内に展開する進学塾VAMOSは、「入塾テストなし・先着順」で生徒を選抜しないが、「普通の子ども」を有名難関校に続々と合格させると話題の塾だ。子どもの特徴を最大限に生かして学力を伸ばす「ロジカルで科学的な学習法」が、圧倒的な支持を集めている。本稿では、VAMOSの代表である富永雄輔氏の最新刊『ひとりっ子の学力の伸ばし方』(ダイヤモンド社)から、「子どもの算数力を上げるコツ」について特別に一部を抜粋して紹介する。

「速さ」の問題に強くなるために「読解力」と「図解力」が必要

A地点から北へ時速60キロで進んでいる車を、A地点から南に3キロ離れた場所から30分遅れてスタートし時速80キロで追いかけた場合、何分後にA地点からどれだけ離れたところで追いつくか

 これは、算数の「速さ」を求める問題です。それまでの単純な計算とは、次元が違うことが問われています。レベルが高くて多くの子どもに理解させるのは難しいため、公立小学校では深追いしません。

 速さの問題は、国語力と絵を描く力がないと解けません。まず、長い問題文を読み込む必要があり、それを図解して考えないとならないからです。

 このように、算数には「いきなり難しくなる段階」があります。駅伝やマラソンを見ていると、それまで並行して走っていた選手の中から、誰かがギアを上げて他者を引き離すタイミングというのがありますね。それと同じことが、子どもたちの算数にも起きていると考えてください。

小4の夏以降、算数の学力に差が出てくる

 兄や姉がいる家庭では、親もそのことを体験的に知っていますが、ひとりっ子の親はそれがわからないため、「最近、算数が苦手になってきたみたい」と捉えます。しかし、その子の算数能力が落ちてきたというよりも、算数が難しくなっているという要素が強いのです。とくに小4の夏以降、急に難しくなります

 このとき、今までと同じようなやり方で算数と向き合わせていると置いていかれます。早い段階で、文章を理解する力、図解して考える力をつけさせるなど、難しい算数に対応していく必要があります。

 そのために、オンライン学習はとても役立ちます。学校や塾でやっていることを、親は直接見ることはできません。でも、オンライン学習であれば、先生が書く式や図を親も目にできるでしょう。それを参考にしながら、子どもがわからなくなっているポイントを一緒に考えてあげてください。

(本稿は、『ひとりっ子の学力の伸ばし方』からの抜粋・編集したものです)