「仲よくなれ、とは言わない。仲のいいフリをしろ!」

 2人は納得し、それ以降は仲よさそうにふるまうようになった。すると実際に少し打ち解けた関係になり、社内の雰囲気もよくなったという。

 その場に合わせたキャラを演じられる人は、人間関係において得をするのだ。

【必読ポイント!】
◆職場・ビジネス編
◇自分でイメージしてから依頼する

 ビジネスにおいて「おまかせで」と言うと、相手を信頼している感じが出て、おおらかな人と思われる。言われたほうも喜ぶかもしれない。

 ところが、「おまかせで」は損する話し方である。結局あとで文句を言ったり、やり直しを命じたりすることになる可能性が高いからだ。そういう人は自分で考えるのをサボり、「おまかせ」に逃げているだけなのだ。

 一番いいのは「相手にまかせるところ」と「まかせないところ」を分けること。どこまでは要望があって、どこからがおまかせなのか。それを伝えられると、仕事は円滑に進むだろう。

 著者が駆け出しの編集者だったころ、カメラマンに「どういう写真を撮ればいいですか?」と聞かれてもうまく答えられず、「あなたのほうが専門家なんだからうまくやってくださいよ」と思っていたことがあった。そんな著者の「おまかせ」体質を見抜いた先輩に言われた言葉を、いまでも覚えている。

「本当は君が撮影も担当するべきなんだ。でも、全部君がやっていては時間が足りないから、プロにお願いしているだけ。だから、どんな写真にしたいか、あらかじめ頭の中にイメージを持っておきなさい」

 自分でイメージしてから依頼をし、まかせる場合は線引きをはっきりする。これが「得」な話し方だ。