志願者数急増中の「関東学院中高」で新任校長が見つけたもの陶芸のための電気炉まで持っている中高は滅多にない(上)。酒器づくりもある保護者向けの陶芸教室は大人気(下左)。生徒はろくろも使ってさまざまな陶器を仕上げる(下中)が、中1生はピーマンを焼く(下右)

「引き出し」の多い学校

志願者数急増中の「関東学院中高」で新任校長が見つけたもの[聞き手] 森上展安(もりがみ・のぶやす) 森上教育研究所代表。1953年岡山生まれ。早稲田大学法学部卒。学習塾「ぶQ」の塾長を経て、88年森上教育研究所を設立。40年にわたり中学受験を見つめてきた第一人者。父母向けセミナー「わが子が伸びる親の『技』研究会」を主宰している。

――赴任されてから感じられたことはありますか。

森田 引き出しの多い学校だな、と思いました。いろいろなことをやっていますし、設備もすごいのですが、中の先生方は普通のこととしてとらえているためか、外に向けて全然発信していませんでした。外から来た私の視線から、さまざまな場でお話しさせていただいています。

――どのようなものがありますか。

森田 部活動や行事などはどこの私立校にもありますが、例えば授業後に設けられている「教養講座」は誰でも受講できます。そのための講師も、年間を通じてお願いしています。

 中3生以上を対象に、週1回行っている「韓国語講座」「中国語講座」をそれぞれ20人ほどが受講しています。受講生の中には、梨花女子大に留学し、「日韓企業をつなぐ仕事」をしている卒業生もいます。

 全学年対象で、華道(古流松藤会)や茶道(裏千家)があります。他にも、企業を目指す生徒向けにビジネスコンテストの指導をする講座(デジタルクリエイター特別授業)や、プログラミング講座でのアプリづくりも行っています。

――教養講座ですね。施設面ではいかがですか。

森田 技術室の設備がすごいと思います。溶接や3Dプリンターなど、なんでこんなにそろっているのと思うほどです。技術好きの男子は多いですね。

 陶芸室には、大学から譲り受けた4台の電動ろくろと一人一台のろくろがあり、電気炉で焼くことができます。中1生は必修で、高校生は選択です。

――窯もあるのですか。それは凄い。早稲田大学本庄高等学院で見たことがあるくらいです。

森田 一つ一つのものは結構面白いのですが、現状ではすべて「点」のままです。これをつないでいく力を生徒に付けないといけない。それにはネットワークづくりが大切です。入学してから卒業するまでの間に、ストーリーを感じられるような学校になるといいなと思っています。

――そのためには何から手を付けていきますか。

森田 進路指導にしても生活指導にしても、全体的にふわっとした感じがしていて、学びの目的も含め、軸となるコアの部分をもっと太く、しっかりしたものにします。

――近くでは、女子校から共学化して青山学院大の系属校となった横浜英和が人気になっていますね。

森田 本校にもキリスト者推薦があり、青山学院大にも20人分の指定校推薦枠がありますから、毎年十数人進学しています。他の大学にも、全体で40人ほどが指定校推薦枠を使って進学しています。

――生徒はMARCH(明治・青山学院・立教・中央・法政)に進学できればいい、という感じでしょうか。

森田 MARCHなどは普通に受験しても進学できるようにします。保護者には国公立大に進学させたいと望む層も多くいますので、。そのためにも、大学入学共通テストでしっかり得点できる学力を付けたいと考えています。

志願者数急増中の「関東学院中高」で新任校長が見つけたもの赤い作業着が並び、さまざまな機材がそろった本格的な技術室