赤ちゃんは「深刻な睡眠不足」、脳に刺激を与えるほど賢くなるという親の誤解刺激を与えれば与えるほど、赤ちゃんの脳が発達しやすくなると思われがちだが、実はそれが原因で赤ちゃんがよい睡眠を確保できなくなっている(写真はイメージです) Photo:PIXTA

賢い子を育てるには睡眠が必要で、賢い子どもの親は睡眠を大切にしているといいます。睡眠を最優先すると、赤ちゃんのときから認知力を発達させたり、感情的知性を身に付けたりすることができます。新生児には16時間以上の睡眠が必要なのに、実際は10時間から12時間ほどになっているのが現状です。なぜ赤ちゃんには睡眠が必要なのに、睡眠不足になっているのでしょうか。イントラセルラー・セラピーズ社所属の神経科学者のポリー・ムーア氏の著作『賢い子は1歳までの眠りで決まる』(日本文芸社刊)から、抜粋して紹介します。

多くの赤ちゃんが睡眠不足

 わたしたちが暮らす文化のなかでは、赤ちゃんにたっぷり睡眠をとらせるのが難しくなっています。

 子どもの睡眠障害は増えるばかりです。はじめて親になったたくさんの人々と接した経験からも、いつも睡眠不足の赤ちゃんが増えていることがわかっています。

 わたしの講座の受講者から聞いた話のなかには、赤ちゃんが1日に12時間、さらには10時間しか寝ないという例や、抱っこされたまま泣きつづけ、ようやくうとうとしてきたと思ったら、あっという間に昼寝が終わってしまうという例もありました。